40代前後になると、肌の調子が以前と同じではないと感じる場面が出てくることがあります。
そのとき、「年齢のせい」「ケアしてこなかったから」と考える人もいれば、「女性と同じように考えるのは違うのかもしれない」と感じる人もいるかもしれません。
男性と女性の肌は、見た目が似ていても、置かれている条件や影響を受けやすいポイントが少しずつ違います。
その違いは、若い頃はあまり表に出ませんが、40代前後になると、体全体の変化と重なって見えやすくなってきます。
この記事では、男性の肌を「どうすべきか」で語るのではなく、
そもそもどんな前提条件のもとにあるのかを、落ち着いて整理していきます。
理由が分かれば、これまで感じてきた違和感も、
少し見え方が変わってくるはずです。
40代になってから、肌の違和感に気づく人が増えてくる
20代や30代の頃、肌のことで本気で困った記憶がない、という男性は多いと思います。
私自身もそうでした。
洗顔も特に意識せず、何もしなくてもそれなりに保たれていた。多少無理をしても、しばらくすれば戻る。そういう感覚で長い時間を過ごしてきた人は少なくないはずです。
ところが40代前後になると、はっきりしたトラブルではないものの、何となく調子が悪い、疲れて見える、清潔感が落ちた気がする、といった違和感に気づく場面が増えてきます。
何か特別なことをしたわけでもないのに、以前と同じではいかない。
その理由を、ここでは男性の肌がもともと持っている前提条件という視点から整理してみたいと思います。
男性の肌は、なじみにくさを感じやすい
男性の肌は「丈夫そう」と言われることが多いですが、実際に触れたときの感覚としても、少し硬さを感じる場面はあると思います。
ただ、この感覚は、単に強いというより、外からのものがなじみにくい性質とも受け取れます。
水分が入りにくかったり、入ってもとどまりにくかったりする。
そのため、表面だけを見ると問題なさそうでも、内側では乾きやすい状態が起きていることがあります。
良い悪いというより、男性の肌にはそうした傾向が出やすい、という話です。
皮脂が多いことと、潤っている感覚は一致しない
男性の肌の特徴として、皮脂が出やすいことはよく知られています。
若い頃は、この皮脂のおかげで肌トラブルを感じにくく、「特に何もしなくても大丈夫」と思えていた人も多いのではないでしょうか。
ただ、皮脂と水分は役割が違います。表面はテカっているのに、内側は乾いている。
見た目と感覚が一致しない状態が起きやすいのも、男性の肌の特徴のひとつだと感じています。
そのため、「問題ないはずなのに、何となく調子が悪い」という感覚だけが残ることもあります。
ひげ剃りという、当たり前になりすぎた刺激
男性の肌を考えるとき、ひげ剃りの影響はどうしても避けて通れません。
毎日、あるいは定期的に刃を当てる行為は、肌にとっては刺激になりますが、長く続けているとそれが当たり前になり、負担として意識しなくなります。
特別に荒れているわけではなくても、表面では小さな刺激が積み重なっている。
これも、男性の肌が置かれている環境の一部だと思います。
本人が気づかないうちに、肌が疲れやすい状態になっていることは、十分にあり得ます。
若い頃は気にならなかったのは、肌がカバーしてくれていたから
ここまで読むと、「そんな条件があるなら、もっと早く問題になっていたのでは」と思うかもしれません。
ただ、20代や30代前半までは、こうした前提条件が表に出ることはあまりなかったと思います。
それは、肌そのものの回復力や調整力が、まだ余裕を持って働いていたからです。
多少無理をしても、時間が経てば戻る。特別なことをしなくても、何となく保たれていた。
そういう状態が続いていたからこそ、肌について深く考える必要がなかったのだと思います。
40代になってから肌の変化に気づいたきっかけについては、こちらの記事で整理しています。
40代になると、これまでの差が少しずつ見えてくる
40代前後になると、このバランスが少しずつ変わってきます。
何かが急に壊れるというより、これまで表に出ていなかった差が、ゆっくりと見え始める感覚に近いでしょう。
少し寝不足が続くだけで調子が落ちたり、回復に時間がかかったり、脂っこい食事が翌日に残るように感じたりと、体でも同じような違和感が出てきている人もいるのではないでしょうか。
肌についても同じことが言えます。
皮脂と水分のバランス、日々の刺激の積み重ね、回復にかかる時間。
そうしたものが重なり、乾燥しやすくなったり、疲れて見えたり、清潔感に影響が出たりします。
これは努力不足というより、前提条件が変わってきた結果だと捉えた方が自然だと思います。
同じことをしても、しっくりこないと感じる背景
こうした前提条件を意識しないまま何かを始めると、「思ったより合わない」「しっくりこない」と感じることがあります。
もともとの肌環境が違えば、同じやり方をそのまま当てはめたときに違和感が出やすいのは、不思議なことではありません。
ここで大切なのは、誰かのやり方が正しいとか、間違っているとかではないという点です。
単に条件が違う。その違いを知らないまま比べてしまうと、余計に戸惑ってしまいます。
無理に頑張る話ではない、という整理
この記事で伝えたかったのは、「今まで何もしてこなかったからダメだ」という話ではありません。
多くの男性は、そうしなくても成り立っていた時期が長かっただけです。
そして40代になり、その前提条件が少し変わってきた。その変化に気づく人が増えてくるのも、自然な流れだと思います。
自分の肌がどんな条件のもとにあるのかを知ることは、何かを無理に変えるためではありません。
これまで感じてきた違和感を、落ち着いて整理するための材料です。
その整理ができていれば、この先どう向き合うかを考えるときも、必要以上に構えずに済むはずです。
